koushisa’s blog

エンジニアリングと人生の関わり方についての独り言

エンジニアとして目指しているところ

あなたの仕事はなんですか

いま自分が「あなたの仕事はなんですか」と問われたら、「フロントエンドのユーザー体験をよくする開発全般」と答えるだろう。

 

なんと解像度の低いものか。

 

「ユーザー体験をよくする開発全般」というのは役割が本当に広く、自身の得意なフロントエンドの設計論、パフォーマンスチューニングなどの知識を学習し、方針立てて他者に説いて行くとったのは間接的には役に立っているとも言える。

 

ただしそれらプログラミングの知識はユーザー体験にクリティカルに作用するものではない。

もちろんフロントエンドチームの品質やベロシティを上げるために技術面でアプローチ出来るということに一定の需要はあるし、それをを間違っていると思っていない。

 

ただし、最近はそのような技術面のアプローチに限界を感じている。

 

ユーザー体験がよくなったところで自己満足かもしれないし。本当にユーザーにとって価値となるかはもっと上流のプロダクトのコンセプトに依存する。

設計に時間をかけて作ったプログラムもデザインやプロダクトの戦略が変わればほぼ作り直しだ。極めて外部の影響を受けやすい。

 

そういったところで最近はフロントエンドをやる目的、ひいては自身がエンジニアとして目指しているところにも目がいくようになった。

 

これは、会社が自分に成長する機会を与えてくれているということと、単に慣れてきて一般的な業務GUIであれば精度高く作れるようになってきたことで視座が高まったというのも背景にあると思う。

 

一時期は10人近くにも及ぶフロントエンドのチームの先頭に立って設計しつつ、ほぼ全てのコードをレビューしながら自分の実装タスクも回していったりと無茶をしていた。

当然肉体的にも、精神的にも限界はあり、自分を見つめ直すきっかけとなった。

 

  1. 他者を(教育|信頼)してタスクをどんどん委譲していくこと
  2. 全体最適化の観点で自分のポジションを流動的にすること
  3. そもそも限界(疲れ)を感じないような熱中出来る仕事とはなにか

 

今回は3番について深堀りをしていきたい。

好きなことをやる

好きなことをやるというのは本当に重要だ。

好きなことをやると頭が活性化して創意工夫を見出すし、何よりも疲れない。

疲れないからアウトプットをたくさん出せるし、そのアウトプットでまた楽しくなる。

次は何をやろうかと頭をワクワクさせる。

 

自然にフィードバックループがうまく周って何も意識しなくともその分野に詳しくなっていくのだ。

 

私は、自身の成果物によってユーザーが喜んでくれるのを想像しながら工夫しているときが一番楽しい。

寝食を忘れるぐらい熱中できるのはより良いユーザー体験について考えながら設計し、プログラムを書いたり、自分よりちょっとレベルの高い課題を解決するために試行錯誤しているときだったりする。

 

私の性格の傾向から熱中するためには、以下の3点が重要だ

  1. これから自分が作る機能によってユーザーが喜ぶという確証
  2. 技術的に難易度が高い
  3. 成果物のフィードバックが自分に返ってくる仕組み

 

今の自分の活動はそのようなものになっているか?

 

プログラミングは好きだし、自分の知らないことを知った時、難しい概念を理解して実装ができたなどのアハ体験は大人のパズルのようで中毒性がある。

 

でもそれだけでは足りない。

 

これから

 

現在は取引先のSaaS(医療系CRM)のフロントエンド設計、開発リード全般を受託開発している会社のメンバとして業務に取り組んでいる。

 

そこで自身の価値観に照らし合わせた時に受託開発について思うようなところがある

  • 取引先が自分たちに求めるのは"開発力"なので当然ベロシティが重視される
    • プロダクトの"体験"は二の次で、どれだけ素早く開発出来たかを見られている 
    • ユーザー体験について考える際は多くのステークホルダを巻き込む必要がある
      • コミュニケーションが増えることによって自身の"開発力"の総数は落ちる
      • 開発力が落ちてもプロダクトの価値が上がるのならユーザー体験を重視すべきという考えだが、そこの期待値のすり合わせは難しい
    • これらの課題や自分の課題感をうまく言語化しきれない自信の言語能力不足もモヤモヤ
      • ユーザー体験という言語じゃなくて感覚を扱う領域だからこそ言語化が難しい
      • そもそもユーザー体験を目標設定とすることが間違っているのか?
  • プロダクトの意思決定を行うための知識や権限は全て取引先にある
    • UI/UX、仕様も含めてもれなく全て
      • 0→1の一歩目が遅くなる
    • 医療系のドメイン知識は非常に複雑でありエンジニアがシュっと理解できる領域ではない、軽く認知不可を超える 
    • これも自分のスキル不足でもあるが、要件に踏み込んだ話がそもそも難しい
      • ヒアリング力を高めたらもっとうまく立ち回れるのかもしれない
      • 提案する際はMECE言語化しないとうまく伝わらない
      • そもそも言語化ヒアリングのコストは非常に高いし見積もりも難しい 
        • これがペイするかと言われると...?
      • ROIの観点で主体的に行動するモチベが発生しづらい
        • 開発力を期待されているならそっちに全振りしたほうがいいんじゃないか
  • 開発プロセスにおいていくつかパターンが自分の中で醸成されつつあり、Whyに対して課題解決の手段Howが経験からパっと浮かんでくる
    • Howに関しては目新しさがなくなってきた
    • Whyについて考えたい

細かいところで自分の理想と現実の間にギャップがあり、こればかりは今すぐに自分一人で変えるのは難しい。組織の構造上の問題もある。

自分の言語化能力を鍛えたらもっと変えられるのかもしれない。が、そう簡単に人の考えを変えられるとは思っていないのでそこに労力を割いても仕事としては割にあわないケースもよくある。というか殆どそれで、割り切っちゃったほうがお互い幸せな場面もある。

 

ここ半年はチームの"開発力"の改善を進めてきたので開発自体は以前と比べてうまく回るようになったし、自身の求められている価値は提供できているのかもしれない。

 

ただ、やはり自分の限界をちょっと超えた課題に挑んでる時やユーザー価値について考えている時が一番楽しい。

 

自分たちがプロダクトにオーナーシップを持って開発したいし、もっと泥臭い開発をしたい。

 

個人開発も一時期考えていたが、このご時世、外出する機会も減ってなかなか日々の生活の中で課題を見つけるのが難しい。

育児をしながら個人開発の時間を確保するのも難しい。可処分時間は一日に2時間あればいいほうだ。

 

自分の能力を生かしながら熱中できて、社会にも貢献できるテーマや仕事があればなと思う。

それが難しい問題であればあるほどワクワクする性格だ。

 

自分は崖から落ちても這い上がってくることが強みだとフィードバックを受けたことがある。

個人的には登るべき崖が目の前にあるなら最高じゃないかと思う。

ゴールが見えていくならそれをゆっくりでもいいから諦めずに一つずつ登っていけば必ずたどり着ける。

 

一生涯かけて登りたいと思えるような崖を見つけたいし、そういった課題に対し自身がエンジニアとしてどこまで通用できるかを試してみたい。基本的に負けず嫌いな性格なので、多少詰まったとしてやりきるという覚悟はある。

 

だとすれば、今は自分の熱中できる問題を見つけることが重要なのだと思う。

 

個人的にはSDGsの教育の分野に関心がある。

教育や学習によって自分が知らないことを知れる。

これは周りの世界を知るためのパスポートのようなものだと思っている。

周りの世界を知らずに自分の好きなものを見つけるというのは難しい。

 

いま2歳の娘にはこれから色々な世界を知ってもらって好きなことを見つけてほしいし、自分の才能を見出してほしい。

 

そのために十分な教育を受けさせたい。 

 

そういった自身の課題と社会問題が交錯する分野にエンジニアとして貢献するためにも、日々自分や世界と対話を重ねていき「何がやりたいか」、「何ができるのか」、「何が好きか」を模索し続けることが今出来ることなのかもしれない。

 

この記事はきっと、将来の自分が定期的に見返しに来るはず。

ボトルメール的にいくつか自分自身へのアドバイスとして書いておく。

  • 「やりたいこと」や「やりがい」とは探し出すものではない
    • やりたいことを探してから集中するというメンタルモデルは間違っている 
    • 世界との関りの中で形成される、自分自身の周囲との関係性や、その発展の方向が、「やりたいこと」、「やりがい」として認識される
    • つまり、環境に大きく左右されるものである
  • 人生とは、終わりのない改善
    • 壁はどこにでもある
    • 自分で作ってしまった壁もあれば、外側から作られた壁もある
    • 壁には、いつも外側からロープが来るもの
  • ロープを見逃さない
    • きっかけはいつも「世界」である
    • 世界に対し、自分を動的に定位していくことで方向性が一致していく
      • 世界の変化は自分よりも複雑で素早い
    • 自分と世界の方向性が一致したときにロープが見える
    • 大切なのはそのロープに気づくこと、
      • 時には背面にロープが存在する場合もある
  • 視野を狭めてはロープに気づけない
    • ときには集中も大事だが、変化の機会損失はもっと大きい
    • 客観的、かつ積極的に世界と関わろう
  • 人生はシンプルだが、シンプルにし続けるのは難しいということを肝に命じておく

まだ26歳の若造なので30ぐらいまでになにかしらの進歩があると嬉しい。